参加施設の声Experience

京大病院で心臓血管外科病棟に勤務し、患者さんの退院調整にも携わってきましたが、在宅支援の実態が自分の中で不明確なまま関わっている課題意識がありました。学生の頃から在宅看護に関心を持ち、ゆくゆくは訪問看護師として働きたいとの目標もあり、出向研修への参加を志望しました。加えて、子育てをしながら働く今、自己のキャリアアップと家庭との両立を考えていく機会にもなると考えました。出向先の渡辺緩和ケア・在宅クリニックは、悪性疾患を対象に在宅緩和ケアの提供を行っています。出向を通して、在宅医療の実際と在宅看護技術について学び、看護師としてスキルアップすることや、緩和ケアについての知識を深め、実践することなどを目標に据えています。

実際に在宅看護の現場を経験し、病院のように検査データが頻繁にはそろわない状況下で、医師・看護師のフィジカルアセスメントで患者の状態を見極めていく重要性を学びました。患者の状態が急激に悪化するような場面でも医療者が常に観察しているわけではないため、患者・家族との信頼関係や情報共有が大切になります。本人の状態や経過を先読みし、公的サービスの導入時期や必要な処置などを先手で対応していくことが、患者・家族の負担感を減らすことや、自宅で安楽に暮らすことにつながるのだと実感しました。訪問看護師は、家族が生活する家に「お邪魔する」立場です。患者・家族の考え方や価値観を尊重して関わり、医療者として適切なアドバイスを行えるよう研鑽を続けたいと思います。