京都田辺中央病院
看護部長
場所、役割、規模、全ての違いが経験に
京都田辺中央病院では2021年度に本事業に参加し、京大病院より1名の助産師を受け入れました。私立病院と大学病院では規模や役割の違いなど、環境が大きく異なる中で、出向者に有意義な経験を提供できるのだろうかと準備段階では施設側もさまざまな不安を抱えていました。しかし、実際に受け入れが始まり、出向者の報告書を見てみると、その違いこそが貴重な経験になっているのだと知りました。医師、看護師ともに限られた人員の中で、地域の出産に貢献すること。その難しさとやりがいを助産師として日々感じられていただいているようで、とても嬉しくなりました。
自施設のモチベーション向上にも
受け入れ先となった当院の現場にも良い影響があったのは、嬉しい驚きでした。出向していただいた京大病院の助産師と良好なコミュニケーションをとり、自分たちの強みなどをフィードバックしてもらうことで、モチベーションの向上にもつながっているようです。新型コロナウイルスの影響もあり、人手は常に不足しています。病院間の距離的な課題もありますが、本事業の効果もたくさん感じることができました。院内での周知をさらに図りながら、当院からも出向者を出せるように、働きかけていきたいと思います。
京大病院助産師
助産師としてスキルアップするために
京大病院で助産師として経験を重ねるにつれて、中堅看護師として任せられることが増え、自分が教える立場になり、教えてもらう機会が少なくなりました。そのような環境で、自分の助産技術や後輩の指導に不安を感じ、一度他施設で正常分娩の経験を積み、自施設では経験できないことをたくさん経験して、助産師としてスキルアップしたいと思うようになり、出向を志願しました。京都田辺中央病院は、様々な経験を持つベテランスタッフが多く、いろいろな経験談を聞き、助産師として、ひとりの女性として学ぶことが多くありました。また、スタッフが仲良くアットホームな雰囲気で働けたこと、チームワークよく連携されていたこともとても印象に残っています。
より良いケアをするために
出向期間の半年間は、スタッフが忙しい中でも業務を一から教えてくださり、助産技術も学ばせていただきました。他施設で勤務したことで、自分自身を見つめ直し、自己の課題を見つける良い機会となりました。京大病院では常に医師が側にいるので、何でもすぐに報告して指示を仰いでいた自分に気づけたこともそのひとつです。アセスメント能力や判断力、常に予測をたてて、異常に傾かないように分娩のアプローチをすることができていなかったことを痛感しました。他にも医師不在中での分娩介助や緊急帝王切開、コロナ禍で隔離中の児へのケアなど学ぶことが多くありました。
京大病院看護師
地域の急性期医療に携わり、自らの看護観を広げる
ES-ICUで急性期の脳神経外科看護と救急科の集中治療を学び、中堅の立場となり後輩指導に関わることも増え、自身の経験や知識の不足を感じることもありました。2024年4月に救命救急センターに指定され、重症度と緊急性が高い患者の変化を見逃さない知識と判断、実践力が求められる中、自らの看護観を広げ、知識・技術を身に付け、地域の急性期病院で幅広い診療科の看護を学ぶために出向を決意しました。
多職種連携でより充実した医療を提供する
京都田辺中央病院は、地元で唯一の急性期病院であり、24時間365日救急患者を受け入れ、診療科を問わず全年齢層に対する医療を提供されており、幅広い看護を学びました。スタッフ数も常備されている医療機器や薬剤数も自施設に比べると少なく、環境の違いに驚きました。また、看護師が患者の状態変化に気づく必要があると再認識し、これまで身に付けてきたアセスメント力と観察力を活かし、的確な判断力と対応力を持って安全な看護を提供する責任を感じています。検査や手術の前処置、脳神経外科以外の術前術後管理など、新たな経験ができる喜びや新鮮さを感じると同時に、自己学習の必要性も感じ自己研鑽中です。そして、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、臨床工学技士、歯科衛生士、救命士、MSW、クラークなど他職種間でコミュニケーションを図り、互いを尊重し協力し合い、患者や家族一人ひとりに向き合い、医療を提供できていると実感し、医療の質向上には他職種連携は欠かせないと再認識しました。患者を最も近くで観察している看護師だからこそできる患者の安心・安全へ繋がるケアのために、患者の生活スタイルや性格など個別性に応じて工夫していくことの必要性とその難しさを改めて実感しました。出向先で学んだこと、経験したこと、感じたことを忘れず、京大病院に戻っても、看護観を深め日々成長していきたいと思います。
2015～2024年度人材交流実績
- 京大病院 ⇒ 京都田辺中央病院：看護師1名 助産師1名