京丹後市立弥栄病院
交流を通して頼もしい看護師に成長
弥栄病院は京都府北部に位置し、交通の便は良くなってきていますが、看護職確保に恵まれているとは言えません。スタッフの平均年齢も高く、若い世代の職員が就職しても数年で「都会の急性期で働きたい」と離職することも少なくありませんでした。その中で、このような事業に参加する機会に恵まれ、今日までに、当院からは6名の看護師が京大に。自身が所属している同じ診療科を希望し学ぶことで、急性期医療への理解や施設との連携など、多くのことを吸収しています。交流終了後の看護部への報告では、その表情は生き生きとし一回り成長したと感じられる姿に。頼もしさを感じています。
日常と異なる新しい経験を
京大からは助産師4名、看護師3名を、中には2年間という長期間での受け入れを行っています。大雪の中、車を運転するという、都会とは全く違う環境を含め、弥栄病院ならではの体験をしてもらっています。家族と離れての生活など不安が大きいと思いますが、配属部署での温かい受け入れや交流、勤務以外での様々な新しい経験も多いのではないかと感じています。この事業は、当たり前の日常から離れることで、自分が働いている環境を見つめなおす機会にもなっており、継続して取り組んでいきたいと思っています。
看護師
看護師経験値を上げるため、国内トップクラスの現場へ
弥栄病院で勤務して十年が経ち、昨年からは主任看護師になりましたが、管理者としては視野が狭く、物事を客観的に把握し、自身も成長していくためには、新しいことに挑戦する必要があると感じていました。他施設の主任の役割、人材育成、整形外科手術後はどのような入院経過をたどっていくのか、そうしたことを一から学び直すつもりで、京大病院の整形外科病棟への出向を決断しました。京大病院はPNSで看護を行なっており、パートナーと行動することで相手の対応から学びを得られるだけでなく、自分の対応を常に客観的に見つめられました。また、人材育成の面ではリアルタイムに指導ができ、 個々の実力の把握がしやすいという印象を受けました。自施設に在籍したまま他施設で学べるという恵まれた環境の下、自分の看護の振り返りとともに 整形外科看護、人材育成の新しい視点を学べました。
病棟看護への挑戦
看護師としてのキャリアは17年を超えましたが、看護の経験は手術カテ救急室のみでした。現在は主任という立場ですが、病棟看護の経験がなく、入院から退院までの看護展開が未熟であるという不安を感じていました。そんなときに紹介していただいたのが、この交流プログラムです。都市部の高度急性期医療を提供している京大病院で、多岐にわたる急性期看護の実践方法を学ぶこと、そして主任看護師として高度急性期の患者管理方法を学ぶことを目標に挑戦することに決めました。
京大病院での経験を自施設で活かせるように
半年の出向期間では重症心不全患者、人工呼吸器装着中患者の観察方法や看護ケアの実際などを日々繰り返し学ぶことができました。また、補助循環装置使用中の患者の観察と看護も経験することができました。これからは自施設に戻り、看護師人生ではじめてとなる病棟勤務になります。不安もたくさんありますが、重症患者の管理、特に微量で作用する薬剤の取扱いや鎮静管理患者の観察、保清、口腔ケア、緊急処置の経験を生かしたいと思っています。また、入院から退院そして退院後まで包括的・継続的な看護ができるように努力したいと思います。半年の出向は私の看護人生の宝となりました。
助産師
自然な経腟分娩の介助をもう一度学びたくて
京大病院の産科分娩部では、合併症を抱えハイリスクな出産に関わることが中心で、帝王切開分娩の割合が高く、経験年数が上がるにつれて経腟分娩に携わる機会が減り、自分の分娩介助技術に不安を感じるようになっていました。新たな土地、病院へ行くことに不安や悩みもありましたが、先に弥栄病院への出向を経験された先輩から体験談を聞き、助産師として活躍の場を広げながら生き生きと働かれている姿を見て、私自身のモチベーションもアップし、ぜひ挑戦してみたいと決意しました。
自らの課題も改めて知ることができるチャンス
弥栄病院ではコンスタントに経腟分娩に携わらせていただき、初めてフリースタイルでの分娩介助も経験できました。経験豊富な先輩方が多く、知識・アセスメント面・技術面でも多くのことを学ぶことができました。 また、学生の頃から助産師外来に興味を持っており、そこで必要な知識や技術を習得することも、出向の目的のひとつにしていました。医師の診察による産科外来とは役割が異なり、経腹・経腟エコーを助産師が行うだけでなく、妊婦さんへの指導力も求められます。自分が主体となって助産師としての力を発揮出来る場所でもありますが、私にはまだまだ知識も技術も足りません。そうした現状を改めて確認できたことも、この交流プログラムに参加してよかったと思います。大学病院とは環境・機能の異なる病院で働く機会は、助産師を続けていく中でとても有意義な経験となりました。ローリスクの妊産褥婦に多く関わる中で、今までとは違った助産師としての楽しさややりがいも発見でき、新しい世界に飛び込んでみることは、とてもいいことだと思いますよ!
より幅広い知識や技術を学ぶために
院内助産ができたことにより、フリースタイル分娩など助産師が主体となってケアできるお産にも携わる機会もあり、今まで分娩台のお産しか経験のない私にとっては新鮮であると感じる反面、自分の技術の足りなさを目の当たりにする機会となりました。もっと自信を持って分娩介助に取り組めるようになりたいと思い、出向を決意しました。また、京丹後市立弥栄病院では、週に1回、助産師外来があり、助産師が妊婦健診を行なっています。今後、自施設の助産師外来の活動をより活発化していくために、胎児エコー技術の習得や助産師外来の運用についても学びたいと思いました。
一つ一つの経験を活かしていけるように
京丹後市立弥栄病院では、分娩入院時の診察を助産師が行って入院の判断をし、産婦さんにじっくりと関わることができます。分娩進行が遷延している場合には、何が原因でどんなケアをするべきなのか、内診所見や腹部の触診、産婦さんの表情などをしっかりと観察し、アセスメントすることをより意識するようになりました。また、畳での分娩介助もでき、助産師として、また一つ貴重な経験が増えたと思っています。このような経験を活かし、自施設で後輩の指導や育成にも力を入れていきたいと思います。
2015~2024年度人材交流実績
- 京丹後市立弥栄病院 ⇒ 京大病院:看護師 5名 助産師 1名
- 京大病院 ⇒ 京丹後市立弥栄病院:看護師 3名 助産師 4名

