今回集まったのは、当センターの人材交流プログラムで交流を経験した12名と、 京都大学医学部附属病院の井川順子看護部長。当センターメイン担当の和田山智子看護師長を聞き手に、 異なる施設に移動することで見えてきたこと、これからの思いなどを大いに語り合いました。
※座談会の内容は平成30年9月時点のものです。
京大病院→福知山市民病院へ
福知山市民病院→京大病院へ
京丹波町病院→京大病院へ
京大病院→京丹波町病院へ
京都大学医学部付属病院
京大病院→弥栄病院へ
綾部市立病院→京大病院へ
京大病院→綾部市立病院へ
京大病院→日本バプテスト病院へ
京大病院→舞鶴医療センターへ
舞鶴医療センター→京大病院へ
弥栄病院→京大病院へ
進行:和田山 智子(看護職キャリアパス支援センター)
Q1.人材交流プログラムについてよかったこと・困ったことは?
米田:自施設に籍を置いたまま、別の病院を経験できるのはとても良いことだと思いました。新たに採用試験を受ける必要もなく、退職もしなくていい。出向元も出向先も連携をとってサポートしてくれるので、自分が学びたいことに集中することができてありがたかったです。
林:病院ごとに地域性も、役割も、雰囲気も、お作法も違っていて、そうしたことを身を持って体験できたのは大きな糧になりそうです。困ったこと……と言うほどでもないのですが、私が出向したのは米田さんがもともと所属している舞鶴医療センターなのですが、このプログラムにはじめての参加だったので、私も病院も慣れないことが多くて手探りな場面も時々ありました。
米田:それは僕が出向で京大病院へ行くと決まったときも感じました(笑)。でもはじめてのことだからある程度は仕方ないのかな?僕がこのプログラムに参加したことで、後輩や次につづくひとたちが出向しやすい環境をつくれたらいいなと思っています。
河畑:私の場合は初年度から参加している施設へ出向したので、受け入れてくれる病棟の方たちも慣れていて安心でした。やっぱりそのあたりは回数を重ねることでどんどん良くなっていくことだと思いますね。
稲鍵:弥栄病院から京大病院へ出向して、今は寮を利用させてもらっています。自分で一から生活環境を整えなくていいようにサポートしてもらったことはとてもうれしかったです。
河畑:出向先の病院がある京丹後市は冬に雪が降るのが当たり前ですが、私にとっては初体験。皆さんのサポートがなければ冬を越せなかったかもしれません。
米田:思い切って環境を変えると、看護師としてだけでなく、人間としても鍛えられますよね。
Q2.出向で得た学びや、出向先で果たした役割は?
大前:出向先の産科は混合病棟の中にあるので、助産師の私も成人の看護をします。京大病院ではほとんど経験しなかったので、いい勉強になっています。また、分娩介助でももともと苦手だった技術が改めて浮き彫りになったりと、何かと自分の課題を見つめ直すきっかけになりました。
合田:私は緩和ケアが学びたくて、ホスピスがある病院へ出向させてもらっています。病気の受け入れは本当に人それぞれで、個別性のある看護が大切ということを改めて痛感しました。京大病院の若い看護師ももっとホスピスを経験するべきじゃないかな。
有馬:その場所だから学べることって本当にたくさんありますよね。私は訪問看護ステーションに出向したのですが、やはり看護をする現場には圧倒的に物品が少ない。ご自宅で看護をするわけだから病院にはあって当然の医療道具もなく、生活状況によってはお湯すら満足に沸かせないときもあるんです。そうした地域の現実は病棟にいるだけは分からなかったことだと思います。
吉崎:出向してすぐに病棟の退院支援委員会に入りました。出向元である綾部市立病院ではどんなやり方をしていたかをお伝えしたり、病棟で集めたアンケートを集計してレポートを作成したり。どれも特別なことではないですが、できることは何でもしたいなと思っています。
Q3.出向を終えて、自分の役割をどう考える?
兼元:あと三ヶ月で出向期間が終わりますが、自施設に帰ったときにはこの経験をきちんと共有して、私がICUを引っ張っていくんだっていう使命感は持っています。また、この人材交流プログラムに参加することの良さを広めていきたい。まったく新しい環境に飛び込む怖さはありますが、確実に経験値や看護師としてのレベルは上がります。そのこともみんなに広めていこうと、看護師長や看護部長たちとお話ししています。
山岸:福知山市民病院は教育にとても力を入れていますよね。
兼元:ただ教育の仕組みも時代によって変わっていきますし、その辺の変化も看護部長は求めていらっしゃいます。そういう部分を変えていくことにも期待していただいているようですね。
平井:京丹波町病院の橋本さんも、病院からの期待がきっと大きいんじゃないですか?
橋本:そうですね。京丹波町病院は福知山市民病院と逆で、マニュアルがなかなか整備できていないんです。だから看護部長からは、京大病院ではどんな風にしているかをしっかり見てきほしいと言われています。また、地域の小さな病院なので毎日の中で変化が乏しく、そこで働く看護師が成長のモチベーションを持つのが難しいという状況があります。私が京大病院で刺激を受けて帰ってくることで、病院全体の雰囲気を変えられたらいいなと思っています。
山岸:福知山市民病院って、お母さんみたいに優しい先輩が多いんですよ。いいよ、いいよ、やってごらんって任せてくれる。そういうおおらかさがいいなと思っていて、私も京大病院に戻ったら、リスクのない範囲で若い看護師たちにいろいろな経験をさせてあげたいですね。
平井:出向は自分自身が変化できるとてもいいきっかけになりました。出向期間が終わって自施設に戻ったら、この経験を生かしていろいろな場所から風穴を開けて、新しい風を吹かせたいですね!
井川看護部長から
出向で得た経験を活かせるように
ぜひ一緒に頑張っていきましょう。
自施設に在籍しながら異文化を触れられる、それこそがこの人材交流プログラムのメリットなのですが、参加した皆さんがそれを「よかったこと」と感じてくれていて、とても嬉しかったです。また、病院ごとにそれぞれ役割を持ち、そこでしか経験できないことを学ぶという、このプログラムの目的を皆さんが見事に果たしてくれていることにも喜びを感じました。出向で得た経験を今後どのように生かしていくかを考えるのは、皆さんだけでなく私の役割でもあります。これからの地域医療に貢献できる看護師を目指して、一緒に頑張っていきましょう。